花束みたいな恋をした


「花束みたいな恋をした」という映画を見てきた。

大ファンの坂元裕二脚本と知ってからずっと楽しみにしていた。


普段私は映画を見ない。仕事をするのが一番大事なのでアクセサリーを作る作業しながらなら見るけど字幕なら仕事にならないから見ない。


でも坂元さんのドラマだけはドラマに集中して何度も何度も見る。

「それでも、生きていく」「最高の離婚」「カルテット」は私の好きなドラマベスト3でそれぞれ30回以上は見たと思う。

見る度新しい発見や、小さなこだわりや気づきがあって何度見ても楽しめる。


来月見てもきっと楽しめる作品たち。

ドラマというより文学な気がしている。



激しい爆破シーンがあるとか、4DXだからとか映画館に行く理由みたいなものは「花束みたいな恋をした」にはないだろうけど単純に坂元裕二作品を摂取できることが嬉しかった。

坂元裕二作品をドラマで見る時には録画して2回目以降は字幕再生する。


情報量や見逃すものが多すぎて1度の映画館で堪能できるんだろうかという不安もあった。



だけどこのご時世にクリエイターに感謝を伝えるためにはと思い初日の一番早い時間に観に行くことにした。

仕事を休むのは4ヶ月ぶりで、映画に行くことが久しぶりすぎてドキドキしたけど本当にいい一日だった。




はじまりは終わりのはじまり

王道のラブストーリーみたいな宣伝だけど、付き合いたての若い二人が見る映画かと言われるとちょっと違う気もする。


予期せぬ妊娠とか、ライバルが嘘つくとか、空港で待ち合わせしたけどエスカレーターでお互いに気づかずすれ違って別れることになるとか

「次号を待て!!!」みたいな引きはないけど誰かのひそやかな5年の日常を見た。

過去の自分の、忙しくて思い出さなかったけどかつてあった日常の一部だったような気もする。



最初に泣いたのは出会ったばかりの二人が高円寺?(東京詳しくないからわかんないけど標識に出てたと思う)高速沿いの道路を夜中歩くシーン。


正直自分でも何の涙か分からなかった。夜中にはしゃいで歩いて帰る体力が眩しい。


そこから数え切れないほど泣いた。


最後に自分が行きたくて行った映画も思い出せないし、泣いた映画も思い出せない。

今自分がなんで泣いてるのか分からないけど大泣きした。悲しいとか感激!とかそういう涙とも違う。


「私、山音くんの絵好きです」

「私、山音くんの絵好きです」

「私、山音くんの絵好きです」


が一番泣いた。




二人が自分の片割れのような相手とファミレスで何時間も話し込んでるのを見て朝井リョウとDJ松永を思い出した。

彼ら二人もこの先環境の変化があるかもしれないけど、恋愛対象ではないお互いだから仲良くいられるんだろうか。






夫とキキララになりたい

夫と初めて会った時不思議な感覚だった。

男女でお互い恋愛感情はあるけれど、親友だったり鏡だったり兄弟だったり片割れのような不思議な感覚を感じる人でそういう発見を付き合う年月が長くなっても何度も感じられる人。



メールの絵文字や文章に違和感を感じない、ずっといても飽きない。話すことが尽きない。

最初の頃は何故か二人とも夏休みにプールに行った後のように同じタイミングで猛烈な睡魔に襲われ二人して公園のベンチで爆睡することもよくあった。(この現象が何だったのかいまだに分からない)



すごく似ている人だと思った。

何の障害もなく喧嘩することもなくトントンと結婚が決まった。


結婚してみると根っこの部分は似ているけど、趣味や読む本に食の好みなど何にも全く合わないこと気づいた。

3年付き合っても気づかないくらい浮かれてたのか、いつの間にか色んなことが変わったのか。

合わないけど今も好きだ。


恋人だった彼は夫になり父になった。

彼から見ても私は出会った頃とは全く違う人間と感じてるかもしれない。

私は今また彼を好きになったけど、夫は本当は私に呆れてて、でも家庭の維持のために目を瞑ってくれてるのかもしれない。


結婚してから数回だけ「もう別れるのかもしれない」と思ったこともあるし、お互いの努力で変わったこともあるし、出会って11年で絶対世界中の誰にも共有できない二人にしか分からない秘密の世界観もある。



だけど男女ということで関係が夫婦という形に収まり、やれスキンシップだとか環境だとか子育てとか色んな変化が出てくる。



私にも夫にも性別がなくて、ただ気の合う二人としてキキララみたいな感じで星に住んだらもっとずっと仲良くいられるのかもしれない。

朝井リョウとDJ松永が羨ましい。


音くんと絹ちゃんもこんなお互いと出会えたことはどういう結末であったとしてもこんな風に感じられるのはきっと運命の相手なのに恋愛対象になるとその維持が難しい。


どちらかだけ変わることもあるし、いつ出会うかにもよる。

友情関係だったとしてもここまで合う相手だとお互いのパートナーが辛いだろう。



はいてた同じスニーカーは環境の変化が出始め、一緒に楽しんでたものも何だか違ってきてしまう。

私が音くんと絹ちゃんと趣味が似てたらもっとたまらなかっただろうな。

タムくんの絵と前田裕二しか分からなかった。


坂元作品のこういう作り込みが大好きなので、きっと神業連発の指圧師にゴリゴリと体を押された気分になれたと思う。

他の皆さんの考察を読んだり、DVDでインテリアや色んな小物のこだわりに酔いしれたいな。



会話や演出など素晴らしくて2時間あっという間だった。

多分夫をこの映画には誘わないし誰とみるべきかと言われたら一人で見るのがいいんじゃないかなと思う。


一人で見るけど、同じく見た方とも語り合いたい。


本当は初日の今日の17時台の上映ならその前に舞台挨拶が劇場生中継でどうしても行きたかった。

でもこれに行くと娘の保育園のお迎えにどうしても間に合わない。


その映画の頃は娘とご飯を食べてお風呂に入れてバタバタしてるだろう。



私はもう人生で夜中オールでカラオケ行くことはないのかもしれない。

始発が来る頃少し明るくなってきた開いてるのか閉まってるのか分からない居酒屋が並ぶ街を歩いたり、お酒を飲みながらコンビニから家まで二人散歩することもないかもしれない。



若さゆえの万能感みたいな勢いもあるけど、社会人というには不甲斐ない独り立ちはまだできてないような時期が愛おしくなった。


私にとってはポプリとかサシェみたいな作品。

まだ娘に出会ってない頃、夫と出会った頃やもしかしたら更にその前の懐かしさを少し開けてこっそり思い出して楽しむ時のためにDVDを買うと思う。

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